さて、いよいよ中学生の部。
中1はまだまだ楷書。中2・中3は行書。
楷書は楽勝!?そして中2・中3の行書・・・!
(※これらのポイントは、当教室独自の解釈です。私は審査員ではありませんのでご了承を。)
中学1年生
中1は「科学文化」。4文字・楷書と楽勝ムード。しかし小6課題で5文字を書いている・・・。中学1年生、良く見せるにはどうしようかな??
ちなみに「科学文化」ってナニ?真逆な意味でこんな言葉ないんじゃないの?と思い、調べてみると・・・。
意外と深くてびっくり・・・。
この課題にそんな深いテーマがあったなんて・・・。
習字のお手本をWEB上で解説する・・・これぞまさに「科学文化」!!
頑張れ中学1年生!科学と文化の融合を目指すんだ!
・・・ごめんなさい悪ノリしました。
(※注意!!数字は書くに当たって気をつけたいポイントです。書き順ではありません。)
ポイント1
◎科、横線を長く!
最終画、まっすぐスパッと書きたいですね。
“斗”の字のバランスにも要注意。
ポイント2
◎学、かんむり!
厳密に言うと“かんむり”部首ではありませんが、このかんむりをメリハリ付けて書きたいです。
太く・細く・太く、としっかり意識して書きましょう。
ポイント3
◎文、両足のバランス!
「文」の左足と右足のバランスは独特。中心から見て左と右、ときっちり分けると格好が付きません。
そして、払う角度をバッテンにしてもかっこ悪い。
やや下に向かう感じで書くといいでしょう。手本をよく見てつかんで下さい!
ポイント4
◎化、右足のカーブ!
「化」の最終画。まっすぐ降りてきての、曲げ・はね。
ここの書き方は、たて線+横線+はね、で構成されていますが、たてはたてまっすぐに。横は丸みをつけながら。はねはゆっくり上品に。
これら全てをスムーズに行わないと良い見栄えになりません。練習あるのみ!
難易度S!!
今回の課題はSランクは無しとしました。
中学1年生にしては簡単な字が並んでいる分、完成度の勝負になると思われます。
他と差をつけてアピールするとすれば、紙面いっぱいに大きく太く書くといいかもしれません。
「審査員の好み」という言葉がありますがこれは地域によって相当違いがあるらしく、太く大きく書いたほうが評価される地域・県もあれば、小粒にあっさりすっきりと書いた方が評価される場合もあります。
はらい・はねに関しては私個人的には、あまり鋭く出ているもの(「ツンツン」と尖っているようなもの)は直す対象にしているのですが、逆にそういう所を良いとする地域もあるようです。
ということで、秋田県では太く大きく書いた方が審査員の好みであろうと私は感じています。
中学2年生
さて、中学2年生から行書!行書はみんな苦労する。。。
「自然現象」と書きますよー!
丸みをつけて、ゆったりと。
(※注意!!数字は書くに当たって気をつけたいポイントです。書き順ではありません。)
ポイント1
◎自、行書の転折!
“転折”とは、楷書でいうと「おれ」のことですが、楷書の時のようにポキッやらないので行書の場合は「転折」ということが多いですね。
ちゃんと太くなるように、それでいてあまり角ばらせないようにしましょう。行書ですからね。
ポイント2
◎然、筆順の変化!
左から右に一直線で書いたり、“れっか”のあとに“犬”の点を打ったりと、行書では筆順が変わります。
行書ですから流れが大事。「筆脈」は書く線として出ていても出ていなくてもどちらでもいいですが、流れを断ち切らないように書いていきたいですね。
この「然」の形は王羲之から(全然ちがう!って言わないで(笑))。
ポイント3
◎現、すき間大事!
「現」の“見”の目ん玉の中、わずかなすき間、行書はこういう小さなすき間を大事にしましょう。絶対につぶさないように!
ということで、「自」のすき間にも気を付けましょう。
ポイント4
◎象、バランス!
この「象」の字の、立ち姿。“子”の足のバランスにも似たこの形。中心とバランスがなかなか難しい。ずっこけないように書きましょう。
難易度S!!
ここはS級に難しいポイントを!できれば挑戦してみてね、という感じです。
◎現、両足!
部首で言うと“ひとあし”のこの2本。
(※注:現も見も、ひとあし部ではありませんよ。説明のためにこう言いました。)
この足2本、ズバッ!キュッ!と決まると格好いい!!
左足を斜めまっすぐにズバッと。そして右足はキュッ入れて横へ長くします。
ちなみに古典ではこう。
顔真卿ってほんといい楷書書きますね~。
顔真卿は行書の方が有名ですよね。あれもたまらんですが。
この左足と右足の長さ、厳密にはどちらを長く書くかは決まっていないようですが、私は左足を長くします。
筆を立てて、手全体を動かして!
中学3年生
さて、いよいよ最後になりました中学3年生課題、「理想主義」。
さすが最高学年の課題、難しい!!
字の大小感が自然に出るように、1枚の半紙にうまく納めたいですね。
(※注意!!数字は書くに当たって気をつけたいポイントです。書き順ではありません。)
ポイント1
◎理、里のアタマ!
「理」の字は、王と里。
里のアタマの大きさは大きめに、横線2本は小さめに。里はアタマが大きい字です。
ポイント2
◎想、心は広く!
「心」の字、楷書で書くときもそうですが、心は広く大きく書きましょう。
貴方は心の広い人ですよね(笑)?
筆を立ててカーブを書くと線がすっきり中が狭くなりません。
心のはねはゆっくり長くふっくらと。
ポイント3
◎主、小さい字でも主張して!
「主」の字は小さくなりますが、周りに負けないように太めに書きたいところです。
隣の「理」の字と場所を合わせてください。
※「義」の字は文字全体がポイントといえばポイント。なので説明省略。
このカタチ全体が大事、とでも言っておきましょうか。
難易度S!!
ここはS級に難しいポイントを!できれば挑戦してみてね、という感じです。
◎義、しなやかに力強く!
「義」の字、戈(ほこ)の部分!(ここでも説明のために「戈」と言っていますが、部首的には義は「羊」です。ご了承を)
この戈の足とでもいいましょうか、こういう線は長く書きたい。
そして、このそらせ方。斜めにそらせながらしっかりとはねて、払い・点、とつなげていく。
筆脈を出して、線も出して。
「理想主義」の手本を書いていて、私自身が難しいと感じたのはその字粒感。
「主」が極端に小さい。
「想」をもっと大きく書きたい。
「義」の足も書きたい。
「理想」と「主義」がそろわない。
なかなかの難易度でした。
指導する立場からいうと、中学3年生、ただでさえ忙しく練習時間も取れないとは思いますが・・・。
書いて掴むしかないかな、と。
書き慣れない行書の基本からやって、作品の完成度に持っていくのは至難の業。
まあこれは県内全中学3年生、同条件なのですが。
中3というと、部活もぼちぼち引退してそろそろ受験勉強か。
習字よりも塾か、それとも勉強の息抜きに習字やるか。
みたいな感じだと思います。
書道教室をやめる、その前の最後の展覧会。気合いが入る子もいるのではないかな、と思います。
あぁ複雑・・・。
とにかく。
やれる範囲で全力で取り組みましょう!
(※これらのポイントは、当教室独自の解釈です。私は審査員ではありませんのでご了承を。)
これにて、2016年のさきがけ展、学生部半紙の解説終わります。
書道教室に通っていない子でも、ここの参考手本を見て出品する気になってくれれば。
ちょっとだけ、単発で、展覧会に出したい子・習字やりたい子の助けに、少しでもなればいいのですが。
もちろん、ウチに通っている子には3割増しくらいでキビシクやっていきますけどね!
ありがとうございました。