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筆を長持ちさせるための5つの方法!

筆を長持ちさせるための5つの方法!

今回は、大筆を長持ちさせる方法についてご紹介したいと思います。

筆がふくらむ。筆が割れる。書きにくい。
すぐに買い換えなければいけない。

長持ちする筆と、長持ちしない筆。どこにポイントがあるのでしょうか?

私の経験則からの事が多いですが、正しいのではないかな、と思います。

小学生はもちろん、大人の方も必見ですよ!

1.墨は根元までつける!

筆に墨をつけるとき、筆先にしか墨をつけない人がいます。
これでは筆のいいところが出てきません。

ここで注目したいのは、
『わざと根元までつけない』のか、
『そもそも根元まで墨がつかない』のか。

というところ。

わざと根元までつけない、はダメ

前者の、

筆の毛の先から根元まで、全体が柔らかいのにわざと半分までしか墨をつけない

という場合。

これでは筆の弾力が出ません。
筆の腰をしっかりと使わないことになります。

ある日、うちの教室に来ている子どもが言った驚くべき発言!

『だって教科書についてる絵ってこうなってるよー』

ん?なんのこと???

と、話を聞くと・・・
gatag-00004346
これかーーーーーーー!!!

・・・あー、確かに筆のところに半分まで墨がついているねえ・・・。
・・・でもね、これ「イラスト」だから。
・・・デフォルメだから。

ちゃんと根元まで墨つけてねー。

子どもはちゃんと見てるんです!
見てないようで見てるんです!

まあこれは仕方が無い。
筆の毛のとこ、真っ黒くしたらわかりにくいもんねー。イラスト。

ということで。
筆の腰(弾力)は良い線を生み出す肝心なところ。
そこに墨をしっかりと含ませれば、筆の毛にはボヨンボヨンと弾力が生まれます。

「根元に墨をつけないほうが、根元が膨らまないんじゃないの?」
と皆さんは思うかもしれません。

しかし、月に600本は洗う私の経験則からいうと、事実はその逆。
根元に墨をつけない筆のほうが、根元が膨らむのは早いです。

こちらを参考に、墨をしっかりと根元までつけて書きましょう。

そもそも根元まで墨がつかない、はもっとダメ

そして後者はどういう筆かというと、

そもそも洗い方が悪く、筆がカチカチ・カピカピで、毛の長さの半分くらいしか墨がつかない!

これは最悪です。論外。

こういう筆では、太い線が書けないはず。
はらいやはねもうまく出てきません。

筆のいいところは、その一本で太い線も細い線も自由自在なところ。

固まっている筆は筆であって筆にあらず。といったところ。
(ただし、“書道家”や“プロ”の方々の中には、わざとそういう筆で作品を書く場合もありますね。ここは初心者向けサイトです。)
しっかり洗って柔らかくしましょうね。

2.正しい筆持ち方をする!

「正しい筆の持ちかた」というと、じつは千差万別。十人十色。

インターネット全盛の現在、書家のみなさんが書いている動画は検索するとたくさんでてきます。

私もいろいろと拝見し勉強しましたが、筆の持ち方って本当に人それぞれだなあ、と。

なので、プロになったら好きに持ってください。
筆の持ち方自由!

でも小学生や、素人の皆さんは当サイトでオススメしている持ち方でどうぞ!
(これも私の経験則になってしまいますが)

筆は、指先でふわりと軽く、力を入れずにつまむように持つ。

親指は出さない。伸ばさない。
つまんでゆるく。
少し押さえました
というのがこのサイト上、「正しい」とさせて頂きます。ご了承ください。

持ち方が悪いと、自分がどのくらい力を入れて筆を持っているのか、どのくらい筆が紙についたのかが分かりません。
そうすると、力任せに書くようになる。

力任せに書くと、筆の根元まで紙に押しつけてしまう。
筆を根元まで、押しつけて書くと筆は壊れます。

たぶん毛が折れていくのでしょう。

筆の根元は弾力を保つ大事なところ。
紙にはくっつかないところですが、しっかりと仕事しているんです。

筆の根元は、
『墨は含ませ、それでいて紙にはつけず』

これで筆は長持ちします。

3.筆をそろえるって、大事!

最近気がついたのですが、お稽古している子ども達の中に筆先をそろえる動きが十分でない子が結構な数いるのです。
その子ども達を見ていると、書いているうちにぶさぶさになった筆先を、

チョンチョン、チョンチョン、と。

ほんとうに先っぽだけを硯にのせて、筆先を整えていたのです。

本来の筆先をそろえる動きというのは、硯の陸で、筆の毛全体をならす、あの動き。
筆の毛、全体をです。

愛犬をなでるように。
自分の髪の毛をなでるように。
筆の毛全体をかわいいかわいい、してあげる。

奥から手前、同じ方向に

奥から手前、同じ方向に


これがじつは結構重要なんです。
あれを硯の上で何度も何度もやることで、だんだん筆の状態がよくなっていく。

3,4回やって筆が書きにくいようだったら、今度は6,7回と筆を硯の陸でなでつける。

調子が悪いときほど、回数を多くやってみて下さい。

ちゃんと根元まで墨をつけて、何度も何度も筆をなでる。
(うまく書けますように・・・)おまじないのように、気持ちを込めてやってみてください。

そして、これをあまりやっていない子の筆は、やっぱり根元がふっくらしています。
うまく根元ができあがらないのだと思います。

4.筆はやっぱり立てる!

言わずもがな。

「筆は立てて~!」

と、稽古中は誰にでも、口が酸っぱくなるほど言います。

筆が立っていない→うまく書けない→無理に力が入る→根元が悪くなる。

こういう悪循環になっていると思います。

筆がちゃんと立っていない人、根元が紙にくっつくまで押さえつけるように書く人は、より早く根元がふくらみ筆が割れます。

筆を立てることで、筆の弾力を感じ取り、ちょうどいい筆圧で書けるようになっていきます。

何個か書いてみましょう

何個か書いてみましょう


ちょうどいい筆圧で書くことは、筆を長持ちさせることにつながります。

前出の2.正しい持ち方をする!にも通じますね。
持ち方エクササイズもお試しあれ。
エクササイズ①
エクササイズ②
エクササイズ③

5.しっかり洗う!!

そして、やっぱり使った後は速やかに洗う!

これに尽きます。

根元まで墨を付け、根元までしっかり洗うと、筆の根元ができあがってくるのです。

洗った後もキュッと締まった筆の根元、これが長持ちする筆となっていきます。

本人、揮毫!!

ということで、私も書いているところを晒したいと思います。
instagramの動画です。


これが絶対に正しい、とは言いませんがご参考までに。

手本書きでしたら、私の場合、

(課題2文字+名前)で、1:30~2:00
(課題4文字+名前)で、2:30前後

くらいの時間で書きます。

まとめ

大筆を長持ちさせる秘訣、他にも細かいことなら出てきそうですが、主なところを5つ挙げてみました。

こうしてまとめてみると、ポイントは、

『筆の根元』をいかにケアしてあげられるか

これに尽きるようです。

力を入れすぎても、根元に悪い。
墨がついてなくても、根元に悪い。
根元が紙にくっつくと、やはり根元に悪い。
洗わないのは、当然、根元に悪い。

根元が悪いと、ふくらみ、割れる。
根元が悪いと、筆の弾力が出ない。

根元が悪いと、はらい・はねがうまくできない。

根元が悪いと、太い線と細い線が出ない。

根元が悪いと、上達しない。

根元が悪いと、

書いていて楽しくない!

ということでした。

道具を大事にする人は、上手になりますよ。

筆のケアから書き方まで。
一朝一夕にはできませんので、これも一歩一歩、自分のモノにしていきましょう。

お付き合い下さり、ありがとうございました。

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