おはようございます、秋田市のしょうじ書道教室です。
昨日は「帳簿付けるぜ!」と気合いを入れていたものの、
とある作品展用の、
・出品票
・自作品への押印
という作業が残っていたのでそちらをやることになった昨日。
押印は慣れ。
条幅作品は書いているものの、
最後の押印はまだ「先生まかせ」という方も多いでしょうね。
押印は慣れないとどうしようもありません。
ようやく決まった清書に、仕上げに印を押す。
「失敗できない!」
と尻込みしてしまう気持ちは分かりますがこれも経験。
ということで手順を今一度おさらい。
1.画仙紙の表面をこする。
落款印を押す場所の表面をこすり、
紙の目をつぶします。こうすることで印が鮮明にうつります。
下にガラス板を敷いて、固すぎず柔らかすぎない滑らかな材料で軽くこすっていきます。
裏表やったほうがいいです。
裏はサラッと。
表はしっかり。
私は「猪牙(ちょき)」を使っています。文字通りイノシシの牙。
テカテカになるくらいこする。軽くこすってもテカリます。
印の大きさの3〜4倍くらい大きい面積をこすっておきます。
あまり強くこすると画仙紙に砂利が入っていたりして“ビリッ!”と切れることも。
こすり終わったら、
押す場所、押す印の大きさを確認。
印泥を印面にまんべんなく付ける。
もう一度場所を確認。
印矩をあてて押す。
グーッと押し込む。四隅がちゃんと付くように。
印を紙から離すときは、周りの紙もついてくるので、そうならないよう小さな文鎮で抑えておく。
押したばかりの印影は印泥が盛り上がっているので、
半紙などで軽く抑える。
すると余分な印泥が移る。
あー、ちょっと薄かったなー・・・。
印泥の付き具合は、
・室温
・季節
などで微妙に変化します。
暑い季節はべったり付くし、
寒い季節はあまり付かない。
その日はじめて付けるときは印泥はまだ固く、あまり付かないが、
何度もやっていると印泥はどんどん柔らかくねっちょりしてくる。
そんなことを全て計算して印泥を印面に付ける。
余分な印泥が移った半紙はピリリと切って捨てる。
そして再び半紙で抑える。今度は上から軽くこする。
また移る。ピリリと切って捨てる。また抑える。
これを数回繰り返す。
押した印影はひと晩では乾かないので2日以上乾かす。
乾かしている間、印影にゴミがつかないように、
きれいな紙の切れ端なんかをフワッと載せておく。
これで完成。
清書候補は3枚なので、3枚に押印。これらの作業を3枚もやると1時間から1時間半はかかる。
まとめ。
私が師事した今はもう亡くなった篆刻の先生が押したものは、
それはもう美しく押されていました。
その印影は、
とても鮮やかで、一切のムラがなく、
均一に朱が乗り、
細かな印刀の動きまできっぱりハッキリと映り、
まるで豪華な印刷の写真を見ているようでした。
これが人の手による手作業なのか。これが篆刻家かと、心底驚きました。
そのとき私はバカ正直に「まるで写真ですね…」と言葉が出たのですが、
「アホ!人の手作業だからここまで完璧にできるのであって、
機械の印刷のほうが劣化版だろが!!」
と怒られてしまったのも今では良い思い出(笑)。
きれいに押せてはじめて一人前。というのが篆刻。
それだけ押すのは難しい。特殊な技術なんです。匠の技。
ぴっちりきっぱり朱くうつるように押せるよう、
(私も含めて)たくさん経験を積んでおきましょうね。
しょうじ書道教室でした!