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【手本有り・行草体・3行モノ】条幅作品制作の進め方【初心者向け】

【手本有り・行草体・3行モノ】条幅作品制作の進め方【初心者向け】

本日は第5週目でお稽古はお休みです。
実績&ポートフォリオ

しょうじ書道教室

こんにちは、秋田市のしょうじ書道教室です。

秋の空、天高く。

良い季節ですね。この季節って物欲高まりませんか?(笑)

初心者向け、条幅制作手順。

ということで、初心者向けの手順書です。

前提として、

・手本あり
・行草体
・3行モノ

とします。臨書作品・創作作品は共通です。ご了承を。

昔にもこんな記事を書いたので検索すれば出てくるかも。

1.手本を確認する

あなたの師事する先生からお手本をもらう、という前提でいきます。

お手本をもらったら、詩文を確認します。何が書いてあるか、ということです。

余裕がある方はじっくり読み込んで理解を深め、その情景(漢詩など)を思い浮かべてみてください。

ちなみに漢詩は読み解くのに時間がかかります。しかし読み下し文だけでも読んでおくと何か違うかもしれません。

私は中途半端に漢詩の勉強をしましたが、漢詩をかじった感想は、

「相当量の漢詩を読まないとピンとこないのではないか?」

ということでした。ちゃんちゃん。

日本の俳句に比べると中国の漢詩は歴史も地理も過去の名作も大量で、

それらの情報が大まかにでも頭に入っている状態じゃないと読んでも情景が思い浮かばないような気がします。

「詩仙李白はこう詠んだ 今の自分はこうなんだ」

みたいな漢詩がバンバン出てきます。

李白の詩が頭に入っていて当然という前提の漢詩です。漢詩界隈での常識というか。

あと中国の歴史の知識。

「函谷関ではこうだった ならば●●してみせようか」

みたいな漢詩とか。

一流の書家は自分で漢詩を詠んで、それを作品にするというのですからその知識たるや。

四書五経が頭に入っていて文字が書けて漢詩が詠める、というのが昔の中国の役人さんでした。めちゃ頭イイ。定年も早かったらしいですけどね。若いうちから勉強漬け、20代で科挙試験に合格すれば早いほう。60歳くらいで定年。70歳くらいが当時の寿命だったので残り10年ほど故郷に戻って隠居するという感じ。

<コラム>世界一難しい中国の科挙試験、日本人で唯一合格したのはあの人

日本人に分かりやすい俳句が流行るのも分かる(笑)。

俳句を詠んで、自詠の俳句を書く、という書道界になってもいいのかも。「自分の詠んだ俳句を書に書くなんて恥ずかしい!!」ってなるからこれは広まらないな(笑)。

そう思うと自詠の漢詩を書作品にしてきた清ぐらいの時代の書家たちはなかなか面の皮が厚い(コラ)。そういう国民性か。自分の知識と感性が丸見えになっても書作品として残しておくんだから不勉強な人はたちまち評価が落ちるという実力主義。中国の人たちはとても合理的だ。勤勉で合理的でお金にシビア。そりゃ発展もするし近代化もデジタル化も超高速に進むわけだ。

2020年にもなってようやくハンコやめるとかいやもうこれ・・・。

ちなみに中国のGDPは15.27兆米ドル、日本は5.41兆米ドル。日本の3倍。

アメリカはというと・・・、

22.32兆米ドル。
上位は米中日の順…主要国のGDPの実情を確認する(2020年版)

日本はもはや・・・なのです。脱線ここまで。

書いてある内容を確認します。抜けている文字が無いかなどチェック。

2.何と書いてあるかを手本に書き込む


初心者の方、なんと書いてあるか分からないでしょう?

はじめはみんなそうなんです。

ここで「とりあえず見よう見まねで書いちゃえ!」とやりませんようご注意を。

手本に書いてある文字の隣に、鉛筆で、ひとつひとつ、漢字を書いていきましょう。

この字はこれ、この字はこれ、とひとつずつ。

3.崩し方を書き込む


書いてある字はわかったけど、この線はどう書いてるんだろう??となりますよね。

ここで“書道字典を引きながら”鉛筆でひと文字ひと文字、崩し方を手本に書き込んでいきます。

ということで書道字典は必須です。書道字典を必ず使うので持っていない人はお買い求めください。

おすすめはこの白黒のやつ。

ということでこの時点で書道字典を持っていない人は「どう書くか、どう崩しているか」を確認していないということに。

それじゃあいつまで経っても文字を書けるようにはなりません。

書道字典で調べて崩し方を手本に書き込んでいきます。

手本を見ていくと、時々書道字典には載っていない崩し方で手本が書かれている場合があります。

そのときは、

「手本を書いた先生はどこかの古典で見たのだろう。しかし私は見たことがない。書いたこともない。」

ということですので、ここは書道字典の“王羲之”など有名どころの崩し方に変えてしまいましょう。

ひと文字ふた文字変えたってあなたの師事する先生は怒りません。

(●●さん、難しくて書けなくて変えたんだろうな)と心の中で思うだけです。

少し崩し方を変えていても「作品」として成立していれば問題ありません。問題なのは「分かった風で結局間違えて書いてしまっている」ということです。あなたの師事する先生が100%正しいとは限りません。もしかして間違っているのかも。

それでも責任は書いた本人になります。確認しなかったあなたが悪い。

これは怖いことなので、間違いが無いか・崩し方は古典に則っているか、これは自分で調べておきましょう。

この積み重ねが実力になります。

4.見せ場の確認


作品の「見せ場」を確認します。

行草体・3行の作品に限りますが(よく書く形式)、

見せ場は2行目です。

当たり前すぎて教えてもらわない人もいるかもしれません。

パッと見てど真ん中の行。2行目。ここが見せ場。

考え方によっては、

2行目の3分の1あたりと下部にもうひとつあればいいかなあ・・・という説も。

これは各自勉強していきましょう。考え方はいろいろあります。

「この手本の見せ場はここなんだなー」

としっかり頭に入れる。

5.強調部分の確認

行草作品なら、見せ場は大きく動き派手な感じに書かれているはず。

そしてその前後左右はどうなっているでしょうか?

その見せ場を殺さぬよう小さく書いたり引っ込んで書いてあったりしていませんか?

「ここはなぜカッコよく見えるのか?」

その理由は、その周囲の字の書き方にあります。

見せ場を引き立たせるような書き方。

けして邪魔するような書き方はしていないはず。

見せ場を見せ場としてそこに存在させる。

前後(上下)だけでなく、

1行目3行目の左右もチェック。

大きく書いたり、小さく書いたり。

太くしたり、細くしたり。

それらはすべて手本を書いてくださった師匠が計算ずくで書いてあります。

まとめ。

長くなったのでここまで。

「行草作品、3行モノ」はわが社中の標準的な作品形式なので、その人たち向けにまとめてみました。

各社中や書風でいろいろあるかと思いますので、

当てはまらない方はスルーしてください。

「こういう説もあるよね」

という情報があればぜひ教えてくださいね。

しょうじ書道教室でした!

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