(※レビューしている者は、書き方は筆圧弱め・やや寝かせ気味、です)
さて今回は万年筆をレビュー。
当書道教室では、毛筆の他にも、硬筆・実用書も練習しています。
硬筆練習をされているみなさんはデスクペンを使用する場合が多いようです。
筆記用具は他にもいろいろあるので試してみて下さいね、という記事です。
ハードルが高めな万年筆
「万年筆」と聞くと、だいたいの方が尻込みしてしまいます。
その高級感からか、デリケートなペン先からか、「筆記用具にそこまで・・・」と思われる方が多いようです。
実際、私も書道教室の硬筆課題では安価なデスクペンで長年書いていました。
しかし、デスクペンのように安価な筆記用具には必ず不満がつきもの。
もう少し書き味が・・・、インクが・・・、スベリが・・・、
まあそれでも我慢して使うんですよね。安いので。
100円・150円のボールペンしかり。
インクがダマになる・・・、ボールペンのボールがゴロゴロする・・・、すぐ付かなくなる・・・、
安いボールペンなどになると3本くらい同じものを買って、書きやすい順にレギュラー・控え、とか決めたり。
それでも安さを考えると、それでもいいか、になってしまう。
高すぎる必要はないけれど
安い筆記用具にはどうしてもつきものの「個体差」があります。
やはり機械でガッチャンガッチャン作っているからでしょうか。
当たり外れがありますね。
ペン先のボールの転がり方がどれも違う。
安いボールペンでも、ものすごく書きやすい1本に出会うこともあります。
これで150円!!とか驚き!最高!!さすが日本品質!みたいな。
しかし悲しいかなインクが終わるとその素晴らしいペンとはお別れしなければいけないのです・・・。
PILOT Vコーンとか、もうすごい1本がありますよね。
これを10本くらいいつも持ち歩くのもいいのですが。
そこで長年使える万年筆、となったわけです。
私が現在使っているのはパイロットの入門用万年筆と言われているカスタム74、値段は1万円くらいです。
公式ページはこちら。
この万年筆は、とみや文具店にてお店の人に勧められるまま買った1本です。
なにぶん私、万年筆は初心者なので最初の1本はすべておまかせしました。
これを使い始めてもう4年目?かな。
普段の硬筆課題から、子ども達の硬筆手本、硬筆昇段試験など、すべてこのカスタム74で書いています。
万年筆は自分でお好みのペン先を選ぶことができます。
私が選んだのはやや太い「FM」というもの。中細字。
私は「早く」上手に書くことが自分の目標にあるので、かすれにくい太めを選びました。
ゆっくり丁寧に書く方は、細いもの(F)や柔らかめの細いモノ(SF)などがいいかもしれません。
これは各人の好みがありますので、もし実際購入するときは試し書きが必須です。
1万円の万年筆を高いと思うか安いと思うか。
150円のボールペンで換算すると約67本分です。
この67本を使う間、これはいいぞこれはダメだな、とやるのか。
それとも自分だけの1本を使い続けるのか。
どちらにもメリットデメリットはあります。
万年筆だってインクの出が悪くなったりしますし、インクが切れたら自分で補充しないといけません。
全くのメンテナンスフリーではありません。
それでも自分の万年筆というのは愛着があってかわいい。
書くこと自体が楽しいのも万年筆。
秋田市山王とみやさん、オススメです。
簡単なメンテナンスやクリーニングなど、アフターサービスもばっちり。
購入はぜひネット経由ではなく実店舗で。
たった今気付いたのですが、FやSFのペン先にして、インクの出方を多めにすれば早書きしてもかすれないのかな?今度とみやさんに行って聞いてみよう。
こっそりもう一本買おうかな・・・。
実際の書き味
万年筆は自分の手になじんでいくという良さがあります。
ペン先が自分の書き方に合わせた形になっていくのでしょう。
年数が経つほど、たくさん書くほど、良くなっていく。
ストレスフリー。
このペンはダメ、こっちのペンは?とか選ばなくてもいい。
自分だけの万年筆だから他の人には書かせたくない。
たまに子ども達に「センセー何それ!書かせてー!」とか言われますけど。これだけはダメ。ごめんねー。
こういうときは、子どもには安い1000円くらいの万年筆を貸してあげて逃げています。
さて、万年筆の書き方は初心者の方には慣れが必要。
といっても、方法は簡単。
力を抜いてペンをやや寝かせるだけ。
この書き方は毛筆の小筆と同じ感覚なので、万年筆を使うことは毛筆にも良い影響があることと思います。
万年筆と毛筆は通じるところが多いですね。
するする~っと紙の上を動いてくれます。
ボールのようなメカが無いので書き心地がボールという第3者に左右されることがありません。
万年筆の世界、紙と人の手の間には、ペン先とインクのみ。
インクの出方を「インクフロー」と言いますが、インクフローをよくすると毛筆の墨の如く紙の上にインクがたまります。
このとき、書き味もヌメヌメしている感じがあり、よく万年筆の雑誌などには「官能的な書き心地」などと表現されます。
なので書き味は殊の外良いです。
意味も無くメモ帳に書きたくなります。
万年筆は「力を抜いて、ペンをやや傾ける」だけなので疲れも軽く、硬筆課題であれば枚数もはかどることでしょう。
デスクペンも機構は万年筆と同じですが、安価な分、やはりペン先に「個体差」があります。
なんかカリカリする!
書いていて気持ち悪い!
またインクが出なくなった!!
なんてことがあります。
結構な頻度で使っているのにデスクペンってインクの出が悪くなります。
もちろんいいペン先に出会えば、ボールペンと比べてもデスクペンはかなり書きやすいです。
なので結局デスクペンも数本持ち、これはレギュラーこれは控えと・・・(汗)。
硬筆はスピード出して
そうじゃないと普段使えない。
手本見てじっくり書けばそれはそっくりになるでしょう。
そういう練習も必要ですが、早く書く練習も必要。
早すぎず、ゆっくりすぎないその中間で美しい字を書きたい。
ちなみに、3枚書いて平均タイムを出してみたところ、5:11でした。
みなさんより早いでしょうか遅いでしょうか。お試しあれ。
硬筆課題を万年筆で。
いかがでしょうか?
このカスタム74で忘れてはいけない大事なことを!
必ずキャップをおしりにつけて使って下さい!
こうしたほうがペンのバランスがとれて落ち着きます。
おしりにキャップをつけないとちょっと軽く物足りない感じがします。
万年筆は日記や手帳を付ける人にもお勧めですね。
書くのが楽しいですよ。
でも日記だったらこのカスタム74みたいな、かしこまったマジメな万年筆じゃなくても・・・。
万年筆の魅力をもうひとつ。
それはインクの種類の多さです。
日本のメーカー、海外のメーカー、その多さに驚きます。
赤系であれば、どの色も微妙に違う赤色。
日記や手帳ならどんな色をつかってもいい。
緑系にしようか、オレンジにしようか。
そうするとインクをいちいち抜いて洗って入れ替えるのは面倒。
じゃあもう一本買おうか、と欲しくなる。
それもいいじゃないですか。
それはそれで、豊かな人生かな。
最後まで読んでいただきありがとうございました。おわり。