こんにちは。秋田市のしょうじ書道教室です。
今日も暑い!
それでも夏は終わりに近づいていて・・・。
中学生の習字。
今年も秋田魁新報主宰の秋田書道展(通称さきがけ展)が発表になりましたね。
早速、私も手本書きに取りかかり、ひとまず手本も書き上げたのですが。
いつも悩まされる“中学生の行書のお手本”について今日は少しお話を。
いつもは
“習字と書道の狭間”
で悩むのですが、今回は、
“書写と書道の狭間”
とでも言いましょうか・・・。
中学校学習指導要領を確かめよう。
中学生に書かせる行書のお手本ってどうやって書いたらいいの?ということで。
指導要領を確かめます。
平成20年のものだそうです。
中学校学習指導要領解説国語編
最新版は知りません。
11ページ。
(8) 書写の指導の改善
書写の指導については,文字文化に親しみ,社会生活や学習活動に役立つよう内容や指導の在り方の改善を図るとともに,身の回りの文字に関心をもち文字を効果的に書くように指導することを求めている。
35ページ。
第2学年
ア)漢字の行書とそれに調和した仮名の書き方を理解して, 読みやすく速く書くこと。
イ)目的や必要に応じて楷書又は行書を選んで書くこと。
59ページ。
書写に関する事項
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア)字形を整え,文字の大きさ,配列などについて理解して,楷書で書くこと。
イ)漢字の行書の基礎的な書き方を理解して書くこと。
「漢字の行書の基礎的な書き方」とは,直線的な点画で構成されている漢字を,点や画の形が丸みを帯びる場合があること,点や画の方向及び止めや払いの形が変わる場合があること,点や画が連続したり省略されたりする場合があること,筆順が変わる場合があることなどといった行書の特徴を伝統的な文字文化として理解して書くことを意味している。
ですって。
気になったところ。
読んでて気になったところは、最後に紹介した部分の内容で、
行書というものは・・・(以下、意訳)
・丸みを帯びる
・止めや払いの形が変わる
・点や線が連続したり省略されたりする
・筆順が変わる
この4つが「行書の特徴」として挙げられていて、
・そもそもの字形が変わる
ことは行書の特徴としてあげられていない?のでは。
みなさん、原文読みました?
ついてた?書いてた?
「形も変わる場合があるよ」って。
書いてないんじゃない?
書写以上、書道未満。
なるほど、どうりで中学生の行書のお手本は、元の字形をなるべく崩さないで、部分部分をさも行書っぽく書くんだなー。
ひとまず納得。
本字や旧字体も扱わないし、「行書の時にはこう書く」みたいなのも出てこない。
例えば「紫」という字。
止+ヒ+糸、と現在は書きますが。
書道的には違います(字典を参照)。
楷書でも行書でも、一番左からL字をピーッと書いてしまう形が一般的。
書道をやっている人間にとってはおなじみの書き方。
でもこれは中学生ではやらない。
なぜなら、いま現在の字形と違うから。
だから「紫」を行書にしようとすると、
止を行書っぽく崩し、
ヒを行書っぽく崩し、
糸を行書っぽく崩す。
できあがった字を書道人間から見ると(なんかヘンじゃね?)と感じる。
指導要領の中には、「生活の中で早く書ける行書を・・・」みたいな表記なかったっけ?
止を行書っぽく書いて、ヒを行書っぽく書いて、糸を行書っぽく書いても、早く書けないよ。実際は。
L字でピーッと書くから早い。
でもこの形だともしかすると「紫」と読めない人もいるかもしれないんだ。
あああーーーー、わかるわーーー。
学校には文句は言いません。
文部省にも文句は言いません。
きっと当事者さん、苦労して苦悩して決めている。
だけど、変な行書はやっぱり変なのだから。
これ、「どっちでもいい」ってことにしてくれませんかね?
今の形を行書っぽく書く書き方でもいいし、古典から取った書き方でもいい。
どっちでもいいですよ!
にして欲しいなーーー。
ちゃんちゃん。
みんな、さきがけ展頑張ろうぜ!!(涙)
しょうじ書道教室でした。